1:2016/03/06(日) 02:13:28.04 ID:
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右ハンドル仕様にするなど、日本人のニーズに応えた現代自動車の大型バス「ユニバース」
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3期連続の営業減益となったヒュンダイ本社。日本人など海外の人材をヘッドハンティングして技術力を高めてきたが、その戦略が曲がり角に来ているのだろうか

 世界5位の乗用車メーカーでありながら、日本市場では苦戦続きで撤退した韓国の自動車大手、現代(ヒュンダイ)自動車。ところが、昨年、日本への大型バスの輸出が初めて100台の大台に乗り、韓国メディアは「快挙」として取り上げている。だが、ヒュンダイのブランド向上への取り組みは進んでおらず、先行きは不透明だ。

 聯合ニュースなどは2月9日、「15年に極めて閉鎖的といわれる日本の大型バス市場で、100台のバスを輸出する成果を収めた」と報じた。

 日本自動車工業会によると、15年の大型バスの国内販売台数は前年比16.9%増の5260台。いすゞ、日野、三菱ふそうトラック・バスの3社で全体の98.7%を占めており、海外メーカーが入り込む余地はほとんどなかった。

 ヒュンダイは09年、大型バス「ユニバース」の販売を日本でスタートし、09~14年に30~90台の輸出実績を上げた。100台の大台突破について、中央日報日本語版はヒュンダイ関係者の話として、「今回の善戦は日本の消費者の好みに合わせた製品を速やかに供給し、アフターサービスの信頼性を高めてきた結果」とし、「ユニバースのおかげで閉鎖的な日本市場における現代車のイメージも向上していくだろう」との見方を紹介した。

 日本への導入に伴い、ヒュンダイは栃木・日光のいろは坂や富士山、2000メートル以上の山岳道路の走行試験を繰り返し行い、日本の旅行会社やドライバーの意見を聴いて改良を続けた。低燃費、低コストにも配慮し、顧客のニーズに応えてきたいう。

 ただ、韓国メディアのヒュンダイへの絶賛ぶりとは裏腹に、業界関係者が分析した実情は少々違うようだ。ここ数年、訪日外国人の増加や東京五輪開催決定により、大型観光バスの需要が急増している。
日本メーカーは作っても作っても納車が追いつかず、その結果、ヒュンダイから購入しているケースが出ているとみられるからだ。三菱ふそうなど日本勢は「五輪前までは高水準の受注が続く」とみて、期間従業員を含む作業員の増員や休日出勤、残業の増加などで増産体制を強化する構え。ヒュンダイの大台乗せも一過性の可能性があり、浮かれてはいられない。

 そもそも、ヒュンダイは過去に日本での乗用車販売で失敗している。01年から販売を始め、販売台数は04年のピーク時に2524台を記録したが、08年には501台まで減少し、10年に撤退に追い込まれた。

 ヒュンダイの乗用車が売れなかったのは、日本の同クラスの車より高い価格設定をしたことや、当時の人気車種がコンパクトカー、ミニバンで、セダン中心のヒュンダイとのラインアップにずれがあったからだ。つまり、市場のニーズに対応しきれなかったのだ。当時の韓国メディアは「閉鎖的な日本市場が撤退の原因」と報じるなど、韓国民の日本に対する被害者意識は今でも根強い。こうした意識を払拭しなければ、日本での地位向上は進まない。

 さらに、ヒュンダイが悲願とする高級ブランドへの脱皮も今ひとつだ。2月23日に米消費者情報誌コンシューマー・リポートが発表した自動車部門別ブランドランキングでは、日本車が7部門で最高評価を得たのに対し、ヒュンダイブランドは1部門にとどまった。これでは、ブランド嗜好の高い日本人の支持は得にくいだろう。

 追い打ちを掛けるかのように、ヒュンダイの15年1~12月期決算の営業利益は前年同期比15.8%減の6兆3579億ウォン(日本円で6239億円=発表時レート)となり、3期連続の減益だった。ヒュンダイは新興国市場での販売比率が高く、価格競争による収益性の悪化が目立ってきたのだ。

 こうした中、韓国メディアからも、日本の製造業を再評価する報道が出てきた。朝鮮日報日本語版によると、韓国のシンクタンク現代経済研究院が2月16日に発表した報告書で、「財務体質の改善で体力を養った日本の製造業が今後、強力な政策的な下支えを受け、『ルネサンス(復興)』の道を進む」と結論づけた。

 ウォン高で輸出競争力が落ちているヒュンダイが存在感を取り戻すには、乗り越えなければならない壁がまだまだありそうだ。
 
(鈴木正行)
http://www.sankei.com/premium/news/160306/prm1603060012-n1.html