1:2016/07/14(木) 12:39:43.64 ID:
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人民元の下落傾向が続いている

 中国の通貨人民元の下落傾向が続いていることについて、中国が元安を容認しているとの見方も出ている。中国経済にとって元安はどのような影響を与えるのだろうか。

 一般的に、自国通貨安は、貿易取引と資本取引の両方の経路から経済に影響を与える。

 貿易取引では、自国通貨安は一定の時間ラグ(ずれ)があるものの、輸出を増加させ、輸入を抑える。このため、自国通貨安は一定期間の後に国内総生産(GDP)の増加要因となる。輸出入の海外依存度によって効果は異なるものの、世界各国で共通の現象だ。

 資本取引では、自国通貨安はそれまで対外投資してきた人にとっては朗報だ。自国通貨建ての収益が上がるからだ。と同時に短期的には資本流出を促す。それまで自国内に投資してきた外国資本は外貨建て収益率が低下するからだ。この資本流出自体、自国通貨売り・外貨買いを伴うので、ますます自国通貨安になりがちである。

 もっとも、自国通貨安が一定期間継続すると、その間に輸出が伸びてくる。それは対外資産増、つまり資本流入というわけだ。

 おおざっぱにいえば、自国通貨安は短期的には資本流出となって経済の不安定要因だか、中期的にはGDP増加要因になる。

 ただ、この傾向は、国の経済の発展具合や資本、為替規制の有無によって異なってくる。

 日本のような先進国では、資本、為替取引は自由化されているため、短期的な資本流出のリスクはある。しかし、円の場合、国の安定性などから安全資産とされているので、短期的な資本流出による弊害はあまりなく、中期的な経済成長の効果が大きいだろう。

 さて、中国ではどうだろうか。資本、為替規制があるので、それらを利用して、短期的な資本流出のリスクには対応できるかもしれない。

 ただし、中国にも大国のメンツがあるだろうから、資本規制を大々的にやるのは避け、目立たない形にしたいはずだ。

 為替では、中国は変動相場制ではないので、持ちこたえられる範囲で介入するはずだ。自国通貨安への対応の場合、外貨準備の大きさがものをいう。その点で最近、中国の外貨準備が減少しているのは一抹の不安材料だ。

 しかも、中国にはカントリーリスクがある。先日の本コラムで、南シナ海の領有権問題でハーグの国際常設仲裁裁判所の裁定を無視するのは国際社会からみてまずいと書いた。これは外交だけでなく、国際ビジネスにも波及する。

 国際ビジネスでは、別の国際仲裁裁判所が設けられているが、中国は仲裁を無視する国と思われてしまい、カントリーリスクが高まる可能性がある。そうなると、これまで中国に投資していた外国資本が逃げ出すかもしれない。これは中国政府にとって予想外のことだろう。そこで、中国が資本規制に乗り出そうとしたら、かえって中国のカントリーリスクが一気に高まることもありうるのだ。
 
(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
 
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160714/dms1607140830007-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160714/dms1607140830007-n2.htm