1:2016/07/31(日) 08:57:18.04 ID:
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 中国の鉄鋼業界で、再編に向けた動きが加速している。6月26日には、ともに国有大手の宝鋼集団(上海市)と武漢鋼鉄集団(湖北省)が、再編協議に入ったと発表した。もし統合することになれば、アルセロール・ミタル(ルクセンブルク)に次ぐ世界2位のメーカーが誕生する。日本を含む海外メーカーは、中国の「作りすぎ」による市況暴落に苦しめられてきただけに、再編で過剰な生産能力が解消に向かうことを期待しているが、その一方で危機感を募らせている国もある。そう、お隣の韓国だ。

 「再編がスタートするのはいいこと」。神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長は、宝鋼と武漢の協議入りをこう歓迎する。

 中国の粗鋼生産量は、世界の約半分にあたる年間約8億トンを占める一方で、4億トンもの過剰な生産能力を抱えているとされる。中国メーカーは少しでも稼働率を高めようと、昨年だけで1億トン以上を投げ売り同然の安値で輸出。これが国際市況の暴落を引き起こし、「とばっちり」を受けた海外メーカーを疲弊させてきた。

 このため業界では神鋼の川崎会長兼社長に限らず、宝鋼と武漢の統合で手ごわいライバルが生まれることを警戒するより、再編に伴う合理化で過剰能力が解消されることを期待する声の方が多い。

 そうした中で、歓迎ムードとはいえないのが韓国だ。

 再編で中国の過剰能力が解消することは、韓国にとってもプラスだ。だが一方で、新たな心配の種ができたと危惧する向きもある。

 「韓国だけ足踏み」

 韓国の経済紙、韓国経済新聞は、6月末にそんなタイトルの記事を掲載した。

 鉄鋼業界では中国だけでなく、市況悪化を背景に世界規模で再編が進みつつある。欧州では6月、アルセロール・ミタルがイタリア最大手イルバに対し、別の同国メーカーと共同で買収を提案。
今月8日には、インドのタタ製鉄が苦境に陥った欧州事業について、独ティッセン・クルップとの統合などを検討すると発表している。日本でも、新日鉄住金が国内4位の日新製鋼を来年子会社化、大手は同社とJFEスチール、神鋼の3社に集約される。韓国経済新聞の記事は、韓国がそうした再編の波に乗り遅れつつあることを指摘する内容だ。

 確かに韓国では、中国勢の攻勢にさらされているにもかかわらず、目立った再編は起きていない。昨年7月に現代製鉄と現代ハイスコが合併したが、これは同じ現代グループ傘下の企業同士によるものだ。一方、経営再建中の中堅メーカー、東部製鉄はまだ買い手が見つかっていない。

 韓国の大手はポスコと現代製鉄の2社に集約されており、再編余地は少ないとの意見もある。だが、韓国の鉄鋼業界に詳しい日本貿易振興機構アジア経済研究所の安倍誠・東アジア研究グループ長は「中堅以下を含めるとそうとはいえない」と話す。

 実際、韓国政府は以前から再編や構造調整の必要性を認識し、さまざまな手を打ってきたが、思うように進んでいないのが実情だ。安倍氏はその背景に「オーナー企業や財閥系が多く、簡単に統合できない事情がある」と指摘する。

 韓国は、これまで躍進の原動力となってきた造船などの製造業で、中国勢の追い上げに直面。日本にも巻き返され、「サンドイッチ状態」に陥っている。同じことは鉄鋼にも当てはまる。

 収益力で日本メーカーを凌駕してきた最大手のポスコも、かつてほどの勢いはなく、15年12月期は連結最終損益が初の赤字に転落。昨年10月には、新日鉄住金が高級鋼板の製造技術を不正取得されたとして損害賠償を求めた裁判で、300億円の和解金を支払うことを余儀なくされた。

 内需に限界があることもあり、各メーカーは海外に活路を見いだそうとしているが、新興国の景気が減速し、市況が低迷している状況下ではかえって傷口を広げかねない。かといって、単独での合理化にも限界がある。

 アジア経済研究所の安倍氏は「韓国メーカーは、日本メーカーがかつてたどったのと似た道を歩もうとしているが、(日本のように再編が進まない限り)苦しい局面は続くだろう」と予測する。
 
(井田通人)
http://www.sankei.com/premium/news/160731/prm1607310003-n1.html