1:2016/09/01(木) 17:51:51.97 ID:
 【ソウル=名村隆寛】
 
 慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意に従い、日本政府は元慰安婦を支援する韓国の「和解・癒やし財団」に10億円を拠出し、国としての責務を果たした。だが、韓国国内ではいまだに拠出金の受け取り拒否や、日韓合意の無効を訴える声が渦巻いている。

 合意にならえば、今後、日本政府が拠出した資金で、「元慰安婦尊厳の回復、心に傷の癒やしのための事業」を行う。また、「日本政府が公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知」している韓国政府が、ソウルの日本大使館前の(違法に設置された)慰安婦像の問題が「適切に解決されるよう努力」することになっている。

 しかし、国家間の交渉の末に韓国政府が固く約束したことを根底からひっくり返すようなことが、現在も韓国では続いている。

 8月29日にソウル市などが市内の「韓国統監官邸」の跡地で造成していた公園「記憶の場」が完成し、記念式典が行われた。公園は「慰安婦問題を後世に伝えるため」のものというが、朴元淳市長や市民団体など関係者、元慰安婦の女性らが式典で語った言葉は、日本との合意を否定する内容だった。

 朴市長は、「日本はドイツのように誠意ある謝罪や反省に立った賠償、再発防止策を取っていない」「それどころか、軍国主義復活を予告する動きを見せている」と批判した。

 市民団体の幹部は、日本大使館前の慰安婦像を「記憶の場」に移すことが取り沙汰されているとし、「日本が追い払おうとする少女像(慰安婦像)を隠す所ではない」と訴えた。また、元慰安婦の女性も日本大使館前の像の撤去を「受け入れない」と主張した。

 予定されていた式典でのこうした発言は予期されたものだった。しかし、韓国の政界でも日韓合意に反した慰安婦問題の蒸し返しが起きている。左派系野党、正義党の議員が8月30日、韓国政府に対し、日本政府からの10億円の拠出金の受け取り拒否と、日本大使館前の慰安婦像を撤去しないよう求める決議案を連名で国会に提出したのだ。

 決議案は日韓合意を、「両国外相会談の結果を口頭で発表したもので、国会の同意も政府代表の署名もない」とし、「合意は無効」と断じた。さらに、日本政府が求め続けている慰安婦像の撤去を、「歴史を歪曲(わいきょく)し、戦争犯罪の責任を逃れようとするものだ」と非難した。

 国同士の公式な合意を、「署名がないから」といって、なかったものとし、慰安婦像は絶対に撤去しないという。この決議案には最大野党「共に民主党」と第2野党「国民の党」の議員ら26人が名を連ねている。野党勢力が多数の韓国国会で審議されれば、可決する可能性がある。

 また、韓国では来年末に大統領選挙が控えている。野党勢力から次期大統領が当選すれば、日韓合意は一方的にひっくり返される危険性さえある。野党議員による決議案はまさに、一方的に「合意を破棄する」と宣言しているのだ。

 韓国政府は日本と合意したが、これが韓国社会の現状だ。日韓合意に基づく「日本側の責務は果たした」(菅義偉官房長官)今、合意に従い韓国政府が努力しかない。しかし、日韓合意に反対する元慰安婦や市民団体はもちろん、韓国の政界、自治体、メディアの間では「いつでも合意をひっくり返す」と、タイミングを虎視眈々とうかがっている雰囲気さえ感じられる。

http://www.sankei.com/world/news/160901/wor1609010027-n1.html
931f710f.jpg
ソウルの日本大使館前の慰安婦像(名村隆寛撮影)