1:2016/09/12(月) 23:15:05.91 ID:
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アルミニカステ・フンディション・デ・メヒコの敷地に積まれたアルミ Photo: Mike Rapport

 カリフォルニア州に拠点を置くアルミ企業の幹部は2年前、メキシコの都市サンホセイトゥルビデの上空を飛ぶためにパイロットを雇った。シエラゴルダ山地のふもとにある工場の航空写真を撮るためだった。

 その経営幹部は驚くべき発見をした。有刺鉄線に囲まれた施設の内側には、100万トン近いアルミニウムが整然と積み上げられていたのだ。約20億ドルの価値があり、世界のアルミ総在庫量の約6%に相当する量だった。米フォード・モーターのピックアップトラック「F-150」なら220万台分、ビール缶なら770億個分の材料になる。そのアルミの山はすぐに、米国のアルミ業界関係者の頭から離れなくなった。

 今やそれは米中貿易関係の新たな火種となっている。米国のアルミ業界の幹部たちは謎のアルミ貯蔵所について、世界の貿易制度の抜け穴を臆面もなく利用しようとする中国の大富豪の計画の一環だと主張する。
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中国の大手アルミ形材メーカー、中国忠旺控股の劉忠田会長(2009年5月) Photo: Imaginechina/Zuma Press

 米アルミニウム業界団体の幹部ジェフ・ヘンダーソン氏は、大富豪の劉忠田会長が率いるアルミ形材メーカーの中国忠旺控股が、生産国が中国であることを隠すためにメキシコを経由させ、米国の関税を逃れようとしているという。「積み替え」として知られる方法だ。

 中国共産党員でもある劉会長は、メキシコのアルミ在庫や積み替えとの関連性をきっぱりと否定。6月に遼寧にある中国忠旺の工場(その敷地内に劉会長も居住)でインタビューに応じた同会長は「そうしたことは私と一切関係がない」とし、そもそも「銃を持った殺し屋たちがたくさんいる」メキシコでの創業の方法などわからないと冗談交じりに語った。

 しかし、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した社内記録や貿易書類、裁判資料や劉会長と取引してきた人々へのインタビューは、同会長のそうした主張に疑問を投げかけている。そうした書類からは、一連の企業を通じて数十万トンのアルミが中国からメキシコに輸送されたことが示されている。関係企業の中には、劉会長の息子や昔からの仕事仲間だと主張する人物が経営するものも含まれている。

 中国の鉱工業生産の急増は世界の各市場の秩序を書き換えてきたが、なかでも最も劇的に変わったのがアルミ市場だ。安い電力と優遇税制に後押しされ、中国のアルミ生産量は2010年から2015年の間に倍増した。ただ国内需要の減速に伴い、より多くのアルミが米国へ輸出されるようになった。2010年には14%しかなかった米国の輸入アルミのシェアだが、2015年には40%に拡大した。

 2000年には米国で稼働しているアルミ精錬所が23カ所もあったが、2016年末には5つだけになってしまうだろう。

 アルミニウム生産で米最大手のアルコアは、利益を上げている製造部門を不振の精錬部門から切り離そうとしている。同社のクラウス・クラインフェルト最高経営責任者(CEO)は昨年、アルミ価格低下の「大きな要因」として違法な中国からの輸入品を挙げた。

 劉会長がアルミ業界の大物への道を歩み出したのは1993年だ。中国北東部の内需型中小企業だった中国忠旺が、世界的な大手に成長し始めたのと同時期になる。中国忠旺の中核事業は、窓枠などの完成品に使われるパイプ、棒、羽目板といったアルミの「押出型材」の製造。押出型材は生地をクッキー型に通すように、熱処理されたアルミを型枠に入れて高圧力を加えることで成形される。

http://jp.wsj.com/articles/SB12260954658240904189704582308740410364330

>>2以降に続く)