1:2016/09/13(火) 06:19:16.55 ID:
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習近平国家主席と中国人民解放軍(写真:新華社/アフロ)

 本連載前回記事で、中国の苦しい現状とイギリスやドイツの“中国離れ”について論じたが、今回は別の角度から中国の現状を見ていきたい。

 ドイツ経済といえば、2015年にフォルクスワーゲン(VW)がディーゼルエンジンの排出ガス規制に関して不正を行っていたことが発覚、VWはアメリカ当局に約1兆600億円の賠償金を支払うことで合意している。今後、ほかの国に対しても巨額の支払いが課される可能性があるVWだが、そのメインバンクがドイツ銀行だ。

 ドイツ銀行は、VWの不正発覚後に約1兆円の融資を行っているが、将来的に融資が焦げついたり、さらなる金融支援が必要になったりする可能性がある。そして、その時の対応次第ではVWとドイツ銀行が連鎖破綻に陥る危機すら予想されている。また、VWは積極的に中国展開を進めており、15年の世界販売台数の約3分の1を中国に依存している。つまり、中国経済の悪化はドイツにとって切実な問題なのだ。

 そして、そこで問題になるのが「ユーロダラー」だ。これは、アメリカ以外の銀行に預けられた米ドル預金のことで、主にヨーロッパの銀行が市場である。ドル建て債券やドル融資も含まれるが、ユーロダラー取引の拠点はイギリスのシティであり、ドルの為替取引全体の約4割(ウォール・ストリートの2倍)を占めているとされる。

 シティといえば世界的に有名な金融センターだが、それはなぜだろうか。実は、時差を考えた時にイギリスは有利な場所にある。為替取引において、午前中はアジアとヨーロッパのマーケットにアクセスでき、午後になればアメリカのマーケットが開く。つまり世界の為替市場に常時アクセス可能なため、取引に最も適しているのだ。

 そして、国際化に向けて急拡大する人民元の取引の拠点になることを狙い、さらには中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の後見人的な役割を担っていたのがシティおよびイギリスだった。しかし、前回記事で述べたように、イギリスはEU(ヨーロッパ連合)離脱に伴って政権交代が行われ、対中戦略の転換点を迎えている。こうして見ると、あらゆる面で中国および人民元の後ろ盾が失われていく可能性が高いわけだ。

習近平の「次が見えない」中国のジレンマ

 そうした外的要因に加え、中国国内では習近平国家主席自身が八方ふさがりの状況に陥っている。
中国は南シナ海における領有権問題について、常設仲裁裁判所の判決を無視している上、東シナ海の尖閣諸島に大量の船舶を航行させて日本の領海に侵入を繰り返している。

 ここまで強硬な姿勢を貫くのはなぜかというと、そこで習主席が「一歩引く」という姿勢を見せれば、たちまち求心力を失うことになり、習政権の崩壊につながるからだ。習主席は中国人民解放軍の「軍区」を7つから5つに再編すると同時に「戦区」と改称するなど軍改革を行ったが、この改革も軍に対する強い指導力がなければできないわけで、その後、軍の掌握はなかなか進んでいないのが実情だ。

 どの国でもそうだが、軍隊をまとめる時に必要なのは外敵の存在である。軍隊というのは敵がいれば強くなるが、敵がいなければ目的がないため締まらない。そういう視点で見た時、中国が南シナ海や尖閣諸島の問題から手を引けば、軍の士気が低下する上、習主席に対する忠誠心も失われる恐れがある。

 本連載の中で繰り返し述べているように、中国は政治的に国際社会の中で孤立しており、経済政策もどん詰まりの現状がある。そんな中で軍の統率も取れなくなる事態になれば、それはそのまま習政権の瓦解に結びつく。
 
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16607.html

>>2以降に続く)