1:2016/10/15(土) 17:32:34.16 ID:
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沖縄県・尖閣諸島沖に集結した中国漁船。後方に魚釣島が見える(海上保安庁提供)

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で8月、200隻以上の中国漁船と10数隻の中国公船「海警」が集結し、一部が領海侵犯を繰り返した。中国が、漁業資源強奪に本腰を入れ始めたような動きだ。

 6月には尖閣周辺の接続水域に、中国軍艦が初めて出現した。ところが、約400キロ離れた沖縄本島は反基地派の天下で、離島の危機感とは埋めがたい温度差がある。

 「せっかく離島から旅費をかけて来ているのに…」

 尖閣周辺での漁業者の安全操業を要請するため、6月、那覇市の県庁を訪れた、石垣市議会の知念辰憲(たつよし)議長ら要請団は絶句した。

 要請団には、翁長雄志知事も副知事も対応せず、出てきたのは部課長級の県職員だった。要請書を受け取り「知事に伝える」とだけ答えた。しかも、要請団が通されたのは応接室ではなく、ほこりをかぶった書類が山積されている「倉庫のような部屋」(知念議長)だった。

 要請団は前日まで上京し、各省庁に尖閣問題を直訴していた。その際は菅義偉官房長官や島尻安伊子沖縄担当相(当時)が要請団を大臣室に通し、尖閣周辺の警備強化を約束した。

 国は大臣が対応したのに、県は副知事も会わない。翁長県政がいかに尖閣問題を軽視しているかという表れだ。

 尖閣問題で沖縄の離島に寄り添っているのが、東京の安倍政権であり、冷淡に突き放しているのが沖縄本島の翁長県政という奇妙な構図になってしまった。

 この件は県議会でも問題になり、副知事が「今後はきちんと対応する」と陳謝する事態に発展した。

 離島住民は焦っている。9月には石垣市議会が自衛隊配備を求める決議を初めて可決した。3カ月前には同様の決議が否決されたが、尖閣情勢の急変で状況が変わった。

 だが、沖縄本島は違う時間軸で動いているようだ。7月の参院選で、自民党の現職閣僚だった島尻氏を破り、初当選した伊波洋一参院議員は「中国船の領海侵犯は、それ自体は脅威ではない」と発言した。伊波氏は翁長氏同様、沖縄本島で長く市長を務め、離島とは縁が薄い。

 翁長氏は9月、初来県した稲田朋美防衛相と会談した。尖閣問題については、中国との関係改善を図るよう求める要請書を手渡しただけで、「米軍普天間飛行場の辺野古移設は断固阻止する」とだけ強調した。

 中国軍艦、中国漁船、そして海警が尖閣周辺で暴れ回っているというのに、石垣市民はいまだに、翁長氏の口から「遺憾だ」というコメント1つ聞いていない。

 辺野古と尖閣の二者択一を迫る気はないが、本島住民の尖閣への無関心ぶりは、ここまでくるとコメディーに近い。

 ■仲新城誠(なかしんじょう・まこと)
1973年、沖縄県石垣市生まれ。琉球大学卒業後、99年に石垣島を拠点する地方紙「八重山日報社」に入社。2010年、同社編集長に就任。同県の大手メディアが、イデオロギー色の強い報道を続けるなか、現場主義の中立的な取材・報道を心がけている。著書に「国境の島の『反日』教科書キャンペーン」(産経新聞出版)、『翁長知事と沖縄メディア 「反日・親中」タッグの暴走』(同)など。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161015/dms1610151530001-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20161015/dms1610151530001-n2.htm