1:2016/10/23(日) 18:51:19.77 ID:
 日高市新堀の高麗神社で1986年、朝鮮半島古来の民衆芸能を披露した4人組がいた。韓国の打楽器ユニット「サムルノリ」(四物遊撃)。ほぼ同じメンバーによる公演が同じ場所で23日、再び行われる。民衆芸能を受け継ぐサムルノリと、1300年前に朝鮮半島から渡来し高麗郡を建てた高麗王族を祭る高麗神社。長い時を経ての特別な「再会」となりそうだ。           

■ナムサダンの魂

 サムルノリは金徳洙さんのチャンゴ(杖鼓)、李光寿さんのケンガリ(小鉦)、崔鐘実さんのプク(鼓)、南基文さんのチン(鉦)で構成する。「ケンガリは雷、チャンゴは雨、チンは風。ケンガリが天の声とすればプクは地の声。チンが空間で、チャンゴは天と地をつなげる」。李さんが楽器が持つ意味や役割について説く。

 サムルノリは村から村への旅を続けた朝鮮古来の放浪芸人集団「ナムサダン」の魂を受け継ぐ。最下層の身分に属して何ものにも束縛されない自由を守り、その芸は下積みの民衆の苦しみや恨(ハン)、時には喜びをも代弁した。ルーツはシルクロードにも通じるという。

 李さんと金さんは58年ごろ、消えゆくナムサダンの最後の1団に入団した経験を持つ。

■格別な意義

 30年前の10月26日。サムルノリの4人はそれぞれの楽器を打ち鳴らしながら高麗神社の鳥居を出発、李さんが大声で歌った。即興詩だったという。「神社の神や森や山、空や大地に、はるばる朝鮮からあなたがたの子孫が来ました、というあいさつです」(李さん)。4人が舞台上に現れると、鋭いケンガリのリズムや激しいチャンゴの動きを2千人の観客に披露した。

 当時の公演を主催したのは鶴ケ島町(現鶴ケ島市)の青年たちの市民グループ。在日の大学生らも参加した。中心にいたのが同町町史編纂(へんさん)室係長で、現同市長の藤縄善朗さん。「サムルノリは当時すでに最先端の世界的アーティスト。でも彼らが高麗神社で演奏することには格別な意義があった。これに立ち会いたかった」と藤縄さんは語る。

 作家中上健次さんらが、東京・芝の増上寺で開いたサムルノリの公演を見て、高麗神社での公演を思い付いた。本番では59代宮司の故・高麗澄雄さんが歓迎の先頭に立ち、中上さんや劇作家の唐十郎さんら文化人も駆け付けた。

 第60代宮司の文康さん(49)は30年前の公演について「高麗神社の歴史の中で最もインパクトがあったイベント」と評する。「サムルノリも一緒にやって来る神様たちも、盛んになった神社の姿に驚くかもしれない」と今回の公演に期待する。
 
http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/10/23/08.html
aea64712.jpg
サムルノリのメンバー(公演実行委提供)
2ccf2469.jpg
暗い森を背景に夕暮れの中で踊るサムルノリ=1986年10月26日、高麗神社(提供写真)