1:2016/10/26(水) 16:59:45.11 ID:
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北京中心部で建設が進むビル。中国では今も、不動産価格が上がり続けている=9月(AP)

 中国のバブル崩壊がささやかれて久しい。確かに地方都市の不動産価格は、中国のここ数年のオールドエコノミーの不振を反映して下がり続け、大規模不動産のゴースト化も目立つ。

 しかし、その一方で中国のエコノミストたちも「よく分からない」と一様に首をかしげる怪しい現象も起きている。

 それが大都市の不動産価格の異常な高騰現象である。

 中国の不動産価格は、国家統計局が発表する「主要70都市調査」が最も有名だが、その推移を概観すると、中国の不動産価格は景気の低迷により2014年にすべての都市で対前年比でマイナスに陥っている。

 本来であれば、ここから長い調整期に突入するところだが、翌年の夏ごろには各省の省都クラスを意味する一線都市の不動産価格が突如上昇へと転じるという変化を見せたのである。

 これ以降、中国の不動産価格は地方での不振と都市部での不思議な高騰という二極化が固定化してゆくのである。

 そして昨年末、ついに主要70都市の不動産価格が16カ月ぶりにプラス成長に転じてしまったのである。

 これは都市部での価格の上昇が中国全体に波及していったためと考えられているのだが、なかでも大きく貢献したと考えられているのが全国の不動産価格の上昇幅で13カ月連続でトップを走ってきた深センだといわれている。

 事実、2015年12月の不動産価格は対前年比で47・5%の上昇と他の都市を大きく引き離した。これは、上海の18・2%、北京の10・4%と比べてもいかに高いかがわかるだろう。

 これはもちろん中国の不動産価格がまだ上がり続けるとの予測の下に投資が盛んになっているということだろうが、背後には政府への期待がにじんでいる。

 ただ、高騰の理由はそれだけではなく、やはり個人の投資家も熱心であったことをうかがわせるのだ。

 それを決定的に感じさせるのが9月5日付で『財新ネット』が報じた記事、〈昨年、深センで買われた不動産のうち45%は離婚絡み〉である。

 中国では不動産価格の高騰が経済に与える悪影響を懸念する声が高く、政府はあの手この手の対策を取ってきた。そのうちの1つが1つの家庭で2つ目の不動産を購入する際に税金の優遇をなくすというものがある。

 つまり税金の優遇を受けながら不動産を複数持つために離婚するというのである。

 記事によれば、昨年の深セン市における離婚件数は約2万組で前年同期比で46%の上昇となったという。

 不動産価格の上昇幅と離婚者数の上昇幅がほぼ同じというのは偶然にしても、狂想曲が流れていることは間違いなさそうである。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20161026/frn1610261530004-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20161026/frn1610261530004-n2.htm