韓国 経済 
(イメージです。)


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:2014/12/08(月) 18:51:09.00 ID:
 ・三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。

 円安ウォン高が続くにも関わらず、何とか韓国経済を下支えしてきた「輸出」に、急ブレーキがかかった。韓国産業通商資源部が12月1日に発表したデータによると、11月の通関基準の輸出額が、対前年比で1・9%減少し、469億9900万ドル(約5兆6000億円)になったとのことである。

 輸出相手国別で見ると、唯一、対米輸出のみが20・8%の増加で、対日輸出は24・4%減。対EU輸出が6・7%の減少。そして、韓国の最大の輸出先である中国への輸出も、対前年比3・2%の減少になってしまった。対中輸出は、年末までは伸び続けると予測されていただけに、韓国の通商担当者たちにとってはショックであろう。

 実は、韓国の4-6月期の名目GDPは、ウォン建てで370兆8000億ウォン(39兆7800億円)と、対前期比で0・4%のマイナスになってしまっているのだ。韓国の名目GDPが減少するのは、リーマン・ショック直後の2008年10-12月期以来、5年ぶりのことだ。

 ポイントは、韓国の4-6月期の実質GDPは、0・5%増と、対前期比でプラスだったという点である。実質GDPの成長率が、名目GDPの成長率を上回る。すなわち、GDPデフレータがマイナス。同四半期の韓国のGDPデフレータは、対前年比で見ても0%であった。韓国経済は、「順調に」デフレ化の道を歩んでいっている。

 消費者物価でみても、韓国の11月のインフレ率(総合CPI)は、対前年比でわずかに1%。韓国の政府系シンクタンクである韓国開発研究院は、韓国がデフレに陥る危険性を過小評価しないよう警告し、韓国銀行に更なる利下げの実施を訴えるリポートを出した。リポートの著者は、「(韓国の)インフレ率が今ほど低かったことはない」と語っている。

 デフレとは、消費と投資の合計である総需要(=名目GDP)が不足することで起きる。韓国の輸出依存度(財の輸出÷名目GDP)は約43%(13年)と、日本の3倍である。輸出に国民経済を大きく依存する韓国の輸出が、世界的な不況のあおりを受け、11月に減少を始めた。対前年比1・9%の輸出減少が続くと、韓国の総需要は約1%分の縮小圧力を受けることになる。

 外需を当てにできない以上、韓国経済は内需に頼るしかない。とはいえ、韓国のGDPの6割を占める民間最終消費支出は、第3回で書いた通り「債務膨張」で何とか下支えされているありさまだ。家計の債務膨張が不可能になったとき、「韓国経済が本格的なデフレに突入した」と、後世に記録されることになるだろう。


=おわり

zakzak 2014.12.08
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141208/dms1412081140001-n1.htm
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141208/dms1412081140001-n2.htm