ヒラメ 寿司 
(イメージです。)


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:2014/12/30(火) 18:37:49.36 ID:
産地偽装・食中毒も業者にお咎めなし

 宴会シーズンたけなわだが、高級魚のヒラメの刺し身や寿司で食中毒が起きていることはあまり知られていない。厚生労働省の速報(2014年12月2日)によれば、今年のヒラメによる食中毒は10月1日の事例までで30件、患者数は316人。すでに昨年の21件、244人を超えている。速報の事例以外に11月には新潟県柏崎市、山口県下関市など各地で被害があり、東京都内でも10月に2件発生している。

 10月中旬に東京・中央区で起きたヒラメの食中毒では、飲食店関係者が「食の安全が脅かされている」と憤る産地偽装事件が起きている。

 この事件は、銀座の和風料理店のヒラメの造りを食べた客が食中毒にかかり、調査の結果、産地偽装が発覚したもの。築地卸売市場の仲卸が国内産養殖として料理店に販売したヒラメが、実は韓国・済州島の養殖モノだったのだ。営業停止命令は料理店だけで、仲卸に営業停止などの処分はなかった。

 一般的に産地偽装に適用される法律はJAS法や景品表示法だが、「これらの法律は消費者保護を目的にしたもので、業者間の取引には適用しづらい」(消費者庁食品表示企画課)。このため産地を偽った仲卸業者に対しては「JAS法などで処分するには制約があるため、今後、産地取り違えがないよう口頭で注意した」(東京都中央卸売市場事業部業務課)という、処分ともいえないもの。

都民の食生活を守るべき東京都福祉保健局はどうか。
「飲食店は所管の保健所が処分を行いますが、都内の卸売市場の衛生監視指導は市場衛生検査所が行っています」(食品監視課)と話す。その結果、ヒラメの食中毒に留意するよう卸売市場の業者に対し、メールやペーパーで注意喚起し、講習会等も開いているという。「卸から仲卸への取引で、産地記載の伝票が後で届き、仲卸が勘違いした」(業務課)過失であったとしても、産地偽装した業者にお咎めなしですむものだろうか。再発防止はもちろん、食の安全の意味でも明確な法の整備は必要だろう。

ところでなぜ、ヒラメの産地偽装が問題なのか。食中毒の原因になるヒラメに寄生するクドアと呼ばれる粘液胞子虫(クドア・セプテンプンクタータ)が、養殖ヒラメに多く寄生するからだ。それも流通調査の結果、輸入の養殖ヒラメが原因となる事例が多くなっている。ヒラメの消費量は約1万2000トン(12年)で、そのうち漁獲によるヒラメは6057トン。国内養殖ヒラメは3125トン、輸入ヒラメは2953トンで、そのほとんどが養殖の韓国産。実に国内で流通するヒラメの4分の1が韓国の養殖モノになる。

 それではクドアとはどういうものか。

 「以前からクドアは魚の寄生虫として知られていましたが、人体に害を生じることはありませんでした。毒性のある新種がヒラメの養殖場を中心に広まり、食中毒の原因となったと考えられています。国産の養殖ヒラメでは対策が進み、ほとんど出なくなっています」と、国立感染症研究所寄生動物部主任研究官の八木田健司氏は説明する。

 厚労省は11年6月にクドアを食中毒の原因物質と認定している。その年の10月、輸入ヒラメの検疫内容を強化したが、「出荷する際にクドア検査を義務づけるよう韓国と交渉していますが、まだ実現にいたっていません」(厚労省食品安全部監視安全課)。日本の輸入業者が韓国の輸出業者に、クドアの衛生証明書を添付してもらうケースも増えたが、全品検査ではなく、あくまでもモニタリング検査だ。実際に食中毒は全国で起きている。

クドア食中毒は生食した数時間後に発症し、激しい嘔吐と下痢の症状が出る。しかし症状は、「一過性で、数時間程度で改善します。食中毒を防ぐには、75度で5分以上加熱するか、零下15~20度以下で4時間以上冷凍するといい。ただ、ヒラメは冷凍すると身がスポンジのようになり、刺し身で食べても美味しくありません」(国立感染症研究所寄生動物部・野崎智義部長)。

 クドアは100分の2ミリほどの大きさで、肉眼で見つけるのは困難。調理するときに発見することはできない。そのうえ卸売市場で産地偽装がまかり通るとなると、消費者は食の安全をどう守ればいいのか不安である。

http://president.jp/articles/-/14260